●大島弓子の描く女子高校生幽霊と美しい青年幽霊

　　不慮の事故で死んでしまった女子高校生の初子は、どこまでも無自覚でちっとも幽霊らしくない。好奇心旺盛な彼女を諫め導こうとするのは、美しい青年幽霊。彼が幽霊となってさまよっている切なさと、肉体から自由になった初子の少女らしい行動の数々。儚いようでいてなかなかどうして頑ななところがお似合いのコンビだ。

●いつだって壺の中の友人がいてくれたから

　ひとりじゃないというのは、へこたれたときも笑えるために大事なことだ。志姫は幼い頃父を亡くし、母の再婚先のだだっ広いお屋敷で暮らしている。まるでお手伝いさんのように、だ。けれど、志姫には壺の中にすむ大事な相棒がいる。だが彼が壺に入ることになったのには理由があった。ほろりと泣いたり笑ったり忙しい一冊。

●怨霊うごめく闇戦国で狂おしく回る運命の歯車

　少女小説・コバルト文庫で大人気を博したシリーズが原作の骨太のストーリーは、アクの強いキャラクターとその濃厚な関係性で、孤高の主人公・仰木高耶とその臣下・直江を中心に、読者の心を奪った。戦国時代に、無念のまま散った武将たちを中心に繰り広げられる闇戦国の戦いは、多くの登場人物を巧みに操り臨場感満点！

●ミステリーも味わえるホラーに背筋も凍る

　最初に書いておきます。すっごく怖かったです！ 以上、と締めてしまいたいくらい、ハラハラドキドキぞくぞくさせられる、まさに傑作選。モチーフが古い雛人形というそれだけでも十分怖いのに、地下鉄に出入り口が繋がったいかにもうさんくさいデパートが舞台。親友の死をきっかけに始まる戦慄の謎は、真夏の夜中に最適。