●のほほん甲子園

　男同士の熱血スポーツもので、女が最ももどかしい瞬間は、そのヨロコビや悔しさの瞬間に、チームメイトでいられないことにあると私は思うのですが、みなさんはどうですか？ この作品には、おっとその手があったなと思わせるまさかの監督ポジションで、男子高校生を甲子園に導いてゆくというミラクルが楽しめるのです。

●少年は枷をするりと抜けてゆく

　主人公の霖がバスケットに打ち込む姿に、息を詰めて魅入ってしまう。それは、彼が投げるボールの届く先が、そのまま彼の心の届く先だからだと思うのです。すべての想いをこぼさずに拾ってくれる物語の凄さのなかで、きらきらと輝く姿はかっこいいというより、美しい。ぜひ「朱鷺色三角」を読んでからその成長を感じて。

●一緒に部活がしたくなる

　けらけら笑いながら読んでいたのに、最後の最後で泣いちゃうんです。何度読んでも。説明するとだいなしな青春のきらめきなので説明したくない……読んで！ いいから、読んでみて！ 男子新体操部の話なんだけど、基本それぞれ自分のしたいようにしつつ、気がつくとしょっちゅうつるんでる男子の距離感にぐっときます。