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●時間の流れに身を委ねる快感
全1巻 好評発売中!
萩尾望都 定価590円(税込)
六年に一度朝を迎える惑星の名は「銀の三角」。その住人は、未来を予言する音楽を奏でることができたために、戦争に巻き込まれ絶滅したはずだったが……。過去から未来へと時間を移動できるマーリーの奏でる音楽が頁から溢れて聞こえてきそうだ。波に浮かんでいるように、物語に身を委ねる感覚がたまらなく心地よい。
●博士と助手と月の関係
坂田靖子 定価550円(税込)
表題作に限らず、レアな短編や超短編が多数収録されている嬉しい一冊。これから手にする人は、首を長くして収録を待たなくてすむんだと思うとちょっと嫉妬する。「月と博士」は、月がとっても大好きな博士と、博士を心配する助手の切ないお話。思いを募らせた博士が開発した装置は、博士をさらに月の虜にしてしまう。
●人魚姫の子供たち
全8巻 好評発売中!
清水玲子 第1巻 定価680円(税込)
ため息がでるほど美しくて、息を詰めるほど残酷で、完璧な物語だ。全巻揃えて、一気読みできる日を選んで、食べ物と飲み物を用意してから読み始めたほうがいい。いや、ほんとに。惑星から惑星へ産卵のために宇宙を渡る人魚たち。人間と恋に落ちると悲劇が起こるという言い伝え通り、アートとジミーは出会ってしまう。
●ロボットは進化するか
清水玲子 定価670円(税込)
「月の子」に出てくる重要なキャラクターのひとり、ショナ。彼は形を変えて、清水作品によく登場する。この本に収録されている「ネオ・ドーベルマン」では、ドーベルマンと人間のキメラとして登場するのだが、また違った魅力でかっこいいのなんの! 表題作のご存知ジャックとエレナシリーズも必読SFラブストーリーだ。
●何度でも会いたくなる
日渡早紀 定価590円(税込)
登場人物たちに励まされて、夜空を見上げた人や天体写真を眺めた人は発表当時大勢いたはずだ。私もそのひとりなのだけれど。天体観測が大好きな少女・早紀。言いたいことは言うし、やりたいことはやっちゃう彼女の周りだからこそ、引き合うように集まった人たちがどんどん魅力的になって好きにならずにいられない。
●遠藤淑子のロボットもの
遠藤淑子 定価670円(税込)
どうみてもただの少年にしか見えないルークは、中古のロボット。彼を拾ったのは、元軍人の一見 青年に見える女性・マット。彼女は、病を抱えた姉の生活を支えるために働くが、ルークを金に換えることは断じてしない。この本の面白さと壮絶さ、悲しさと温かさをぜひ感じて欲しい。ルークが何故作られたのか描かれる後半も圧巻。
●夢と夢を繋ぐのは
川原 泉 定価590円(税込)
夢で精神分析をするフロイト。なんとこの物語では、死後のフロイトが作ったふたつでひとつの提灯を買った少女と青年が主人公なのだ。その提灯は夢と夢を繋ぐ提灯で、時を経てふたりがそれぞれの事情を抱えて再会した後は、夢だけでなく本当の気持ちを繋ぐのだが……。青年の友人の存在も心のありかを照らす提灯のようだ。
●船長は少女、乗組員は動物
全4巻 好評発売中!
川原 泉 第1巻定価550円(税込)
知的好奇心が満たされるのもSFの醍醐味のひとつだと思う。けれど、そのややこしさが苦手な人もいるはずだ。そのさじ加減が絶妙な川原泉作品だからこそ読める、読みたいという読者は、多かったと思う。胸に深く刺さるシビアさと暖かさを、今ある現実とも置き換えてもなお、希望に繋がるところがとても好きだ。
●見えないはずの「時」が見える
全5巻 好評発売中!
筑波さくら 第1巻定価710円(税込)
人と関わることは怖いときもあるし、めんどうなときもある。けれど、「大丈夫だよ」と、笑って手を差しだしてくれる誰かがいたら? かなでは、人に触れるとときどき未来が見えてしまう。あろうは、過去が。過去はもう変えられないし、未来も変えられるとは限らない。それでも、かなでは人と触れあうことを諦めないのだ。