招き猫文庫 ネコろんで読める時代小説 奇数月発売

第1回招き猫文庫時代小説新人賞に多数のご応募をいただきありがとうございました。1次選考を通過しました24作品1次選考を通過しました24作品の中からさらに3作品を入賞候補とし、審査員と編集長協議による最終選考の結果、以下の受賞作に決定いたしました。

大賞

賞金100万円

やっとうの
神さま

西本雄治

2016年度、招き猫文庫より推敲の上、刊行予定

あらすじ
弟子を取ることを条件に父の道場を継ぐことになった瀬川俊一郎は、神社で出会ったやっとうの神を名乗る少女・鈴に気に入られ、天下無双の力を与えると言われるが、その申し出を断る。しかし、俊一郎を気に入った鈴は道場に押しかけ二人で暮らすはめになる。
ある日、俊一郎に恨みを持つ者たちの襲撃を受け、鈴が人外の力を持つ本物の神だと知る。その頃、戦神・威風は将軍を暗殺し戦乱の世を蘇らせるため、他の神々から力を奪い強大になっていた。人の役に立ちたいという願いを持つ鈴、剣にすべてを賭ける俊一郎と、鈴の力を奪おうとする威風との闘いが始まる…。
受賞のことば
記念すべき第1回の大賞に選んでいただき、ありがとうございます。大変光栄であると同時に、身の引き締まる思いです。秀でた才能もないのに、作家になりたいという想いだけで今日まで書き続けてきました。その想いを実現させるチャンスをいただけた……選考に関わった全ての方々、支えてくれた家族、友人、先生方には本当に感謝しております。これからも努力を重ね、成長していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

優秀賞

賞金30万円

女剣士の
商家奉公顛末書

安藤久美

あらすじ
武芸者一家に育ち、婚期を逃した女剣士・塚口八生は幼馴染の縁談のため、その相手の実家の呉服屋・近江屋に奉公するとことになる。近江屋は武家の娘が商家に奉公するはずがないと思い、無理難題を押し付けて破談に持ち込もうとしていたのだ。近江屋の意図に反して、奉公を始めた八生は客の応対、用心棒をこなし他の奉公人とも打ち解けていく。また、店に出入りする重次という男が商家の客筋の動向を探る目付の配下・柿田重十郎であることを知る。ある夜、辻斬りに襲われた八生を助けたのは重十郎だった。共に辻斬りの犯人に立ち向う中で、八生は重十郎に求婚する。即答できない重十郎…。家族の愛に包まれ生きる女剣士の物語。
受賞のことば
この度は身に過ぎた賞をいただきまして、ありがとうございました。ご連絡をいただいてから数日が経ちましたが、まだ信じきれていません。私の拙い作品を真剣に読んでくださった方がいらっしゃることに、感謝いたします。

佳作

賞金10万円

ぎょうよう牡丹異聞

中川広樹

あらすじ
天正十八年、豊臣秀吉の北条征伐参陣の呼びかけに、いまだ津軽地方の支配を認められていない大浦為信は十八名の家臣と共に京に駆けつける。少なすぎる兵と後ろ盾がない為信は秀吉の歓心を買うために軍資金千両を使い、手土産を持参することを思いつく。その命を受けた八木橋主税は千両箱を背負い京の町を尋ね歩くもからかわれ、騙されるばかりだった。そんな折、八木橋は刀研ぎ職人・小一郎に窮地を救われる。侍嫌いだった小一郎だが、八木橋の実直さに惹かれ、知遇のある千利休に引き合わせる。利休もまた八木橋に力を貸し、千両を使い、為信を近衛前久の猶子にし、秀吉と系譜上の兄弟となることを画策する。利休の力により兄弟となった為信は念願の秀吉との対面を果たし、本領安堵を願い出るが、浅野長政が異を唱える…。
受賞のことば
私の作品を評価してくださったあさの先生、冲方先生、そして編集部の皆様に感謝申し上げます。仕事から帰宅し、1歳の息子を寝かしつけてからの創作の日々はなかなかハードでしたが最高に楽しかったです。今回の受賞を励みにこれからも作品を作り続けていこうと思います。この度は本当にありがとうございました。

選考のことば