花街奇譚
須垣りつ
- あらすじ
- 花川戸で手習い所の師匠をしている六助は生来臆病な性格。それは魑魅魍魎や亡霊が見えてしまう「トワズ」の一族の血を引き継いでいたからでもあった。ある日、女っ気もない弟の行く末を案じた兄に、六助は吉原に置いてきぼりにされてしまう。そこで花魁の銀華に一目惚れしたり、勝気な娘、茜と知り合ったりするが、そのうち亡霊に囲まれ腰を抜かしてしまい、そこを八掛見の遼天に救われる。遼天は花魁を足抜けさせる稲荷隠しという稼業をしており、六助を手伝いに誘う。躊躇しつつも稲荷隠しの一味に加わった六助は、短命な花魁ばかりの楼、瑞雲楼の正体を探る仕事に関わることになる。結果、その楼は金槌坊という蟻の化け物に乗っ取られていることが分かったのだが…。
大江戸
あやかし事件録
紅
- あらすじ
- 江戸中期、浅草近くで古物商、幽玄堂を営む総一郎。彼には人形造りの腕もあった。総一郎が造った人形は不思議な力を宿していて、死して遺された魂が人形に入り込み、その身体を動かすことが出来た。ある日、困窮した男が幽玄堂に忍び入り、吉原の稀蝶という遊女を模した人形を盗む。稀蝶は総一郎の幼ななじみで姉弟のような間柄。稀蝶には美しさとともに「気」を操る力もあった。総一郎は稀蝶の「気」の一部を勝手に拝借して人形を造っていたので、その行方を巡り騒動が持ち上がる…。