美内先生のきれいな線を消してしまうなんて…と少々後ろめたく思いながらも、線が消えるとだんだん立体的なイメージが沸いてきました。
描いているうちにマヤが浮かび上がるようにしたくなって、背景の色を変えました。
マヤの瞳に映るのは誰なのか…というイメージです。
グラスなどガラス製品を観察して透明感と質感を考えながら描いていきました。制作中、北海道はこの時期では29年ぶりという大雪が降りました。背景にも雪が舞い降りるような光を入れたくなって描き入れました。最後に画面の外側に貼っていたマスキングテープをはがすと、すっきりとした仕上がりになりました。
このお話をいただいた時、すぐに「やってみたい!」と思いました。ぬりえに挑戦するのは初めてだったのですが、実際に描いてみると思っていた以上に楽しい制作でした。この形を立体化するとしたらどうなるのか…と、いつも以上に考えて夢中になりました。描けば描くほど元の美内先生の絵から離れていく、そのギャップを楽しんでいただければと思います。
側面の貼りつけていた部分にカッターで切りこみを入れれば、剥がして1枚の紙に戻すこともできます。パネルの側面に残ったテープは水で湿らせれば剥がすことができるので、何度でも水張りに使うことができます。
「月刊MOE」のイラスト・コンテストでデビュー。その後イラストレーターとして主に本の挿し絵を描くようになる。 白泉社文庫「ガラスの仮面」のほか、最近の作品として児童小説「クマと家出した少年」「クジラに救われた村」「王宮のトラと闘技場のトラ」(さ・え・ら書房)などの表紙を描いている。
札幌で個展「わらべのこよみ」
(北都館ギャラリー/札幌市西区琴似1条3丁目1-14)を開催予定。